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◆胸が痛む、息が苦しい:狭心症、心筋梗塞、心不全

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 胸の痛みや苦しさは多くの方が一度は経験されたことがあると思います。

「心臓の病気ではないか」「肺の病気でないか」「血管の病気でないか」と心配されることと思います。

大切なことは「一刻を争う、命にかかわるものか否か」です。

そのなかで今回は、治療を急ぐ心臓病(不安定狭心症、急性心筋梗塞、急性心不全)を紹介します。

 

■ 狭心症

 心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が動脈硬化で狭くなって十分な血液を心臓の筋肉に送れなくなる病気です。

安静時には血液が足りているので症状は出ませんが、体を動かしたとき(たとえば階段を昇ったとき、坂道にさしかかったとき、布団の上げ下げのとき、重い荷物をもったとき)に決まって症状が出ます。

 

<心臓からくる症状には特徴があります>

 比較的広い範囲(指で差せるくらいのごく狭い場合はほとんどが心臓以外の原因です)の胸の痛みで、胸全体が圧迫されるような感じ、あるいは胸からあごにこみあげてくるような痛みのこともあります。心臓の筋肉が酸欠状態になって危険信号として体に知らせてくれるのです。この症状が同じような場面で出てくるようであれば、狭心症が強く疑われます。なお、早朝や就寝中に決まって胸が痛む場合は心臓の血管がけいれんするタイプの狭心症が考えられます。これらの痛みが頻繁に出るようならば、急いで受診してください。

 

■ 急性心筋梗塞

 冠動脈が完全に詰まった状態です。多くの場合、突然に発症します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これまでに経験したことのない強い胸痛で、冷や汗を伴うことも多いのですが、高齢者の場合はなんとなく元気がない、吐き気がするといった一見、心臓疾患と関係のないような症状のこともあります。血管が詰まったこところから先に血液が通っていない状態であり、心筋壊死(えし)(=心臓の筋肉が腐ること)におちいったり、命にかかわる不整脈を起こしたりすることがあるため、早急な治療が必要です。

 

■ 急性心不全の原因は…

 いろいろな原因がありますが、共通することは心臓のポンプ機能が極端に低下して血液を体全体に送り出せない状態です。突然の息苦しさを感じ、ほとんど息ができないくらいにしんどいのが特徴です。また、体全体に十分な血液を送れないため、血圧が下がってショック状態になることもあります。ポンプ失調の原因を突きとめた上で、病態に応じた治療を急ぐ必要があります。ここに挙げていないものも含め、循環器領域の救急疾患は一刻を争います。早期診断および早期治療により劇的に回復しますが、受診の遅れは致命的になります。とにかく症状を大事にしましょう!自己判断は禁物です。

<これまでに感じたことのない胸の症状は急性の循環器病を疑うきっかけ>になります。症状が特徴的であれば、たとえ心電図が異常を示さなくても、さらに詳しい検査が必要になります。深夜であっても躊躇せずに救急車を呼びましょう。自家用車やタクシーではダメです。

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